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覚醒、脱退、復讐


 それからというもの、俺は暇な時間を使ってアムウェイに関する情報を集めた。肯定的なものから批判的なものまで沢山あった。肯定派と否定派、互いの主張を比較して、矛盾点についてはアムウェイを否定的に捉えるリアル友人の意見と、逆に肯定派のA子やB男の意見を比べたり、ネット掲示板を検索したり、YAHOO知恵袋で質問したり、関連法規を調べたり、時にはアムウェイ社に直接問い合せたりもした。ちなみにこの時の俺、「アムウェイ=MLM=マルチ・レベル・マーケティング≠マルチ商法=ねずみ講」だと思ってたレベル。最初に説明してくれたB男から最後に行った会場ミーティングで話をしてたハイピンまで、軽く10人以上からアムウェイビジネスについての話を聞いてきて、その中で「アムウェイはねずみ講ではない」って話は再三出てきたのに、たぶん誰ひとりとして「アムウェイはマルチ商法ではない」とは言ってなかったはずなんだ。とはいえ、ランクの低いディストリビューターとかいまいちその辺りの知識がないネット住人なんかは平気で「アムウェイはマルチ商法ではない」って誤った情報を発信してるわけで、俺もいつの間にか、アップが「アムウェイ≠マルチ商法」って言ったような気がしてたんだろうね。
 それにしても、アップもダウンが勘違いしてることに気づいてて訂正しないのってのも酷い話だと思うわ。あれわざとだね、絶対。
 そんな風にして矛盾点を洗い出して検証した結果はこのとおりで、俺はめでたく3ヶ月間ほどでアムウェイから完全に足を洗う決意を固めることとなった。特に特商法・薬事法・所得税法に関しては目からウロコの記述だらけで、なんで俺はこんなもんを凄いと思ってしまったんだって、自己嫌悪になった。
 そういえば、俺がアムウェイを伝えていたプロスペクトの中に1人、最近前職を辞めた人がいて、今は収入もないことだし、とりあえず徐々にアムウェイ製品に触れていってもらいながら、次の職が決まれば本格的にビジネスをやってもらおうかなと思ってたんだが、それをA子に伝えたところ、A子はなんと「それは違うよ。今収入がないからこそ、消費者じゃなくてすぐにビジネスをやるべきなんだよ」とか言ってドン引きした。いや、どう考えても時期じゃないだろ・・・。まったくダウンのこと考えてないんだな、コイツ。

 ダウンにするつもりだった3人のプロスペクトには、すぐに謝罪とグループの悪質さを周知した上でA子たちと分断させて、さあ次はどうやってA子にアムウェイ辞めること伝えようかと考えた。で、まあいちおう筋だけは通そうと思って電話することに。通話してたのは1時間くらいで、もちろんA子は俺を引きとめようとしたけど、それまでに洗い出した矛盾点やら違法行為に該当してる部分を次々並べ立てていったら20分が過ぎたくらいでA子が泣き出して無駄に時間がかかった。最後に、俺もアムウェイを退会して当然高額製品も含めて今持っている在庫を全て返品する旨を伝えたんだが、A子が「返品はまだいいじゃん。急いでする必要があるの? 一年間は返せるんだからさ」
ってしきりに言ってきた。この時俺は、A子がそういうことを言うのは俺に高額製品の返品期限を一般商品と同じだと錯誤させて、または退会した場合返品期限が会員の場合よりも大幅に早くなるルールを利用して返品不可に追い込もうと考えているに違いない、と解釈した。泣き真似をしながらそんな酷いことを考えてるなんて、女はしたたかだねー、ま見破ってるけどw・・・ってタカをくくってたわけだが、しっかりA子の手のひらの上で踊ってたことを後になって知った。A子に退会&返品の旨を伝えてからというもの、B男、C男も含めてアムウェイ関係の人間からは一切連絡がなくなった。それまでは毎日のように何度も何度も電話やメールが来ていたのが嘘だったかのように。ようやくアムウェイの呪縛から解き放たれた俺が最初にしたことは、A子の直ダウンであるE子に対して、俺がアムウェイを辞める旨を伝えることだった。理由のひとつはE子はとても可愛いのでアムウェイから助け出したいと思ったからw もう一つはE子がA子のダウンの中でもかなりの成果を上げている人間だったので、彼女を正気に戻してアムウェイを辞めさせればA子とそのアップに対して結構なダメージを与えられるだろうと考えたから。

 で、電話で一つ一つアムウェイの矛盾点を指摘していったのだが、E子は「俺君はもっとD子さんの話を聞くべきだよ」と主張する以外の反応を示さなかったため、説得を断念した。E子が今もアムウェイを続けてるかは不明。激務で有名な本業でもそつなく仕事をこなすほど能力の高い人間だけに、いまだにアムウェイを続けてぼちぼち成功してるか、俺の退会後すぐに辞めたかのどっちかだと思う。後者であってほしいわ。

 さて、退会届を出さないままアムウェイから離れて何週間か(何ヶ月かだったかも?)してから、ふと「最後の電話のとき、なんでA子は俺の返品を遅らせようとしたんだろう」って疑問に思ったことがあった。当時の俺は上述したように、ただ単にA子が俺の錯誤を誘って返品不可に追い込もうとしてるか、そうでなければ時間を置くことで退会に揺れていた俺の気が変わるのを待っているかのどちらかだろうと思っていた。だけど、妙に気になってネット上でアムウェイに関する情報を集めてみた。すると、「上位のピンを達成しようとする時には数ヶ月間のカウント期間を経ないといけない。カウント期間中にグループ内で返品が発生するなどして必要ポイントを下回った場合は、上位のピンは達成できない」という趣旨のルールがあることがわかった。やられた! A子は自分のSPカウント期間を過ぎるまで俺に返品させないつもりだったんだ! カウント期間が何週間(または何ヶ月間)なのかははっきりわからなかったが、たぶん今さら返品してもA子のSP達成を阻むには遅すぎるんだろう。完全に手のひらの上で踊らされていたわけだ。

 自分の迂闊さを呪った。だけどこれで、A子は最後まで自分のピンレベル維持のために動いてたってことがはっきりした。その態度にムカついて、A子にはちょっとだけ復讐することにした。残念ながら今から返品してもA子のSPが取り消されることはない時期になってしまっていたので、ダメージは小さかっただろうけど。「返品時におちょくる」というしょうもない復讐ね。まずアムウェイ信者たちが一番忙しくなる月末25日頃を狙ってA子に「家にあるアムウェイ製品全部で約60万円分を返品することにした」というメールを送った。すぐに返信が来た。
「待って! ポイントのこともあるし買い取るからまだ返品しないで。返品する商品の項目を教えて」
「買い取るなら今月中に見積送って。もう俺アムウェイ退会したし返品期限近いから、来月1日になった瞬間に返品するからな」
A子に返品する商品の項目をメールで送信。小物を合わせると100品目近くあったはず。アポやらで忙しいのに頑張って計算したんだろうね。数時間後A子から返信。
「○○円でどう?」
「それなら返品した方が得だから却下」
「じゃあ△△円! ほとんど購入価格そのままだしいいでしょ? 少なくとも返品するより得だし。耐久品は返品しても9割しかお金返ってこないんだから」
「却下。損してでも返品する。最低□□円(原価の倍近い値段)くらい出してもらわんと売れないわ」
「くぁwsrfgtyふじこlp;」
「はい、交渉決裂ね。じゃあ今から返品しまーす」
「せめて影響が少なくなるように何ヵ月かに分けて返品……」
無視して全部返品しました。

 なんというか、信者によっては自分のポイントを守るために原価より高額で買い取るやつもいるんだろうな、と思った。それを利用すれば収入得られるかもしれんから、誰か挑戦してほしいw 返品の結果、60万円分のマイナス食らったA子がどうなったかは知らない。いまだに一切連絡してこないってことはDDどころかGPにさえなれずに沈んだんだろうね。A子の同級生複数人から、「A子がアムウェイやってるから気をつけて!」ってメールが最近届いたってことは、いまだにアムウェイにしがみついてるんだろうけど。B男、C男の近況も知らん。D子はもっと知らん。E子も知らん。ただD子以外は絶対に苦しんでるだろうね。


 以上、筆者のアムウェイ勧誘体験談でした。


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